三障四魔

日蓮正宗入門より引用

さんしょうとは、仏道修行をさまたげ悪道に至らしめる 三種の障害(ぼんのうしょうごうしょうほうしょう)と 四種の魔(煩悩魔・おんてん使)をいいます。
日蓮大聖人は三障について、
「煩悩障と申すはとんじん等によりてしょうしゅつたいすべし。業障と申すは妻子等によりて障碍出来すべし。報障と申すは国主・父母等によりて障碍出来すべし」(兄弟抄 新編九八六)
と仰せのように、「煩悩障」とは、貪・瞋・癡などの煩悩によって 仏道修行が妨げられるさわりをいい、 「業障」とは、五逆・十悪などの業によって起こる障りで、 妻子など身近な人が仏道修行を妨げることをいいます。 そして「報障」とは、過去の正法ぼうなどの 悪業のむくいとして受ける障りをいい、 国主・父母などの大きな力のあるものが仏道修行を妨げる姿となって現れてくることです。
次に四魔の 「煩悩魔」とは、煩悩が心を悩乱させ、仏道修行者がだいを得ようとするの命を奪う魔をいい、 「陰魔」とは五陰魔ともいい、人間の肉体と精神を構成する五陰(しきじゅそうぎょうしき)の調和を乱す病気など、仏道修行に障害をなす魔のことで、 「死魔」とは、仏道修行者が死によって修行を続けることができなくなることや、身近な人の死などで正法への疑いを起こさせる魔をいいます。 「天使魔」とは、欲界の第六天のざいてんに居住する魔王(第六天の魔王)のことで、権力者などの身に入り、修行者をまどわせて仏道を妨害する魔です。 この魔は一切の障魔の根源となります。
大聖人はこれらの三障四魔の起こる原因について、
「此の法門を申すには必ず魔しゅつたいすべし。魔競はずば正法と知るべからず。第五の巻に云はく『ぎょうすでに勤めぬれば三障四魔ふんぜんとして競ひ起こる』」(兄弟抄 新編九八六)
と仰せられています。 すなわち、大聖人の仏法が正しければこそ、それを破ろうとして三障四魔が競い起こり、 仏道修行を妨げようとするのです。 大聖人が、
ぼんの仏になる又かくのごとし。必ず三障四魔と申す障りいできたれば、賢者はよろこび、愚者は退くこれなり」(ひょうさかん殿御返事 新編一一八四)
と教示されているように、 障魔が起きたときこそ成仏という代利益を得るときと心得て、 さらなる強い確信をもって精進するべきなのです。

– 日蓮正宗入門 (p.160 ~ 161)